A.家やビルを建てるときは、それがどんな建物になるかを正確に示した設計図(設計図書)が必要になります。建設会社は設計図に基づき、建物の建築を行います。その『設計図を作る』ことが建築士の重要な仕事のひとつです。
建築物の設計というと、建物外観や内装のデザイン、室の配置、間取りなど意匠的な部分ばかりに目がいきがちです。けれどもひとつの建物を設計するためには、法律や構造、防災などさまざまな要素を考えなければなりません。ひとつでも不具合があれば、違法建築や安全ではない建物が出来上がってしまいます。
そのため一定の規模以上の(あるいは特定の用途の)建物の設計をするには、国家試験に合格して免許を受けた建築士だけが業務を行うことができます。建築士の資格は「建築士法」に定められており、設計できる建築物の範囲を決めて、「1級建築士」「2級建築士」「木造建築士」に区別されています。例えば学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場、百貨店など多くの人々が集まる建物や、一定以上の規模の建物は1級建築士しか設計業務をすることはできません。
建築士は、設計、工事監理以外に、
・建築工事契約に関する事務
・建築工事の指導監督
・建築物に関する調査若しくは鑑定
・建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理
を行うことができます。
A.建築主の意向に沿って建物を設計し、工事業者が指定通りに施工するよう指導・監理を行う建築士による組織が建築士事務所です。
建築士事務所の役割は、建築主の立場に立って専門家として建築主の権利を守り、良質な建築物を建てることです。建築物ができるまでには、建設会社や不動産業者などさまざまな人々が係わります。そうしたプロセスで建築の専門家でない建築主が自分の要望を貫き通すことは、なかなか難しいことでしょう。その建築主に代わり、建築主の希望を専門家としてアドバイスし、建築主に代わって施工業者に交渉・要求していくのが建築士事務所の役割です。いわば、建築士事務所は建築主の代理人と言うことができます。
「建築士法」には、他人の求めに応じ報酬を得て、
・設計
・工事監理
・建築工事契約に関する事務
・建築工事の指導監督
・建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理
を業務として行うためには、建築士事務所として登録を受けなければならないと定められています。つまり報酬を得て設計等の業務を行うことを法律で認められているのは、都道府県知事の登録を受けた建築士事務所だけなのです。
A.建築士事務所協会は、法律により定められた建築士事務所の唯一の法定団体です。
建築設計や工事監理業務は、年々複雑さを増しています。建築士事務所を取り巻く環境の変化や、求められる資質も次第に高度なものとなっています。また構造計算書偽造問題など、建築士事務所には改めて高いモラルと自己管理能力を強く求められています。
建築士事務所協会は、複雑化する今日の建築界の動きや建築士事務所の経営及び業務に必要な情報の提供等、多様な事業を行って、「団体による自律的な監督体制の確立」を実現すべく組織された建築士事務所の団体です。
「建築士法」第27条2には【建築士事務所協会及び建築士事務所協会連合会】が明記されています。その法律に基づき、事務所協会は建築士事務所の業務の適正な運営や、建築主の利益の保護や公共の福祉の増進に寄与を目的に密接なネットワークを構築しています。